学院からのお知らせ
2023年07月11日
花魁衣裳 見る!知る!着る!
千年を越える伝統衣裳の復元に着手し38年、皆様のご支援でこれまで30作品を越える時代衣裳を制作してまいりました。
本年も定山渓万世閣ホテルミリオーネにて開催いたしました「第38回きもの展」では、第19回きもの展作品「花魁用 襠(打掛)一式(おいらんようしかけ(うちかけ)いっしき)」を展示、特設ステージにて花魁衣裳の着装体験を実施いたしました。
「花魁」は、歌や踊り・楽器の演奏をはじめ、生け花・茶道・書・和歌など全ての学芸に堪能な超美人「太夫(たゆう)」や城主が色香に迷い城を傾かせる程の美しい遊女「傾城(けいせい)」とも呼ばれる最高級遊女で、寛保(1741~1744年)の京都島原では、二千人の遊女の内、太夫はわずか2名であったと言われます。
身にまとう衣装は豪華絢爛、打掛が5キロ、胴抜きのきものが6キロ、前帯が仕掛帯を合わせ3キロ、下駄が4キロ、小物が2キロ、更にかつら3キロを加え計24キロの重さに! 一方で、足袋を履くことが禁じられ「傾城は足袋屋ばかりに借りはなし」という一句があります。
島原の太夫には官位の五位が与えられており、その五位の色である赤を衿元の「返し衿」で見せており、その上に着る「胴抜き」は、逃げ出しても見つかりやすいよう、胴の部分がつぎはぎになっています。帯は脱ぎ着の利便性や装飾性も兼ね備えた「まないた帯」という大きな前帯を結び、最後に「しかけ」と呼ばれる打掛を羽織ります。
表の華やかさの裏に、影が漂う衣裳です。
着装体験では「着装道宮島流衣紋会」の皆さんによる衣紋(着装)を解説を交えお楽しみいただきました。コロナ感染対策と沢山の方に体験いただくお時間を考慮しかつらをつけず衣裳のみとさせていただきましたが、衣裳のきらびやかさと重さをしっかり感じていただけたことでしょう。
ご来場いただきました皆様、誠にありがとうございました。