2014年06月02日

伝えたい、文様の心 (1)

日本は豊かな四季に恵まれ

人々は花鳥風月を愛で

そこから生み出された文様は生命力あふれ

あるときは抽象的にあるときは具体的に

美しい世界を描き出してまいりました。

動物・植物、雪や水まで

あらゆるものを文様として四季折々を楽しむのは

その心に響く豊かさを感じるからです。

きもの・帯の色柄は個人によって好みが異なります。

しかし、文様の意味合いが分かると選び方も違ってまいります。

 

【四君子文様】

四君子文様

 

梅、菊、蘭、竹の総称で上品な吉祥紋様は

おめでたいものとされています。

梅は冬の寒さに耐えて花を咲かせ

菊は「精気」を増して長寿

蘭はこの香りのように美しく

竹は気高く中は空洞で益を得ると言われております。

いずれも姿が高貴で中国の君子になぞらえて尊ばれ

日本に伝わってまいりました。

きもの・帯の文様に多く用いられ色々と図案化されております。

おめでたい席に着用したい文様です。

 

【南天文様】

南天

お正月の生け花に使われる南天の赤い実は

吉祥紋の一つとして江戸時代から使われてきました。

即ち「難を転じて福をもたらす」という縁起の良さが

きもの・帯の文様として意匠化されてきました。

漢方では薬草として用い

縁起の良い木、幸せを招く木ともいわれております。

歌舞伎衣装に南天を描いた「雪輪に南天模様着付、羽織」(東京国立博物館蔵)があります。

着付とは歌舞伎衣裳で上着を言います。

 

【鱗文様】

鱗文様

 三角形の文様と地が交互に構成され

魚の鱗に似ているのでこの名がついたと言われています。

「太平記」には北条時政が江ノ島に参拝し

一族の繁栄を祈願した時に

大蛇が現れて「三枚の鱗」を落としていったので

時政は喜び旗印を「三つ鱗」にしたと言い伝えられています。

それ以来厄除け、または魔除けのまじないとする風習が生まれた。

何よりも33歳の大厄の方は、是非身に付けて欲しい文様です。