2015年10月21日

風通(ふうつう)~伝統織物をたずねて~

表と裏二つの表情で楽しむ風通織物
風通とは、二重組織と呼ばれる織物で、組織と組織の間に袋状の空間ができる事から
「風が通る」という感覚が織物の呼び名となりました。

風通御召
強い撚り糸を使う為、柔らかく肌になじみやすく、裾さばきよく着くずれも少ない。2色の縦糸が見せる濃淡は、水墨画を想像する。一本の着尺に静と動を見る事が出来ます。

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組 織
織物の断面は一重ですが、風通織は二重、三重織物の場合断面は、二重、三重になっていて多層織物と呼ばれます。
上下、あるいは上中下のそれぞれの色の異なった織り方も交互に表面に出して模様を表します。
二重織のものを二色風通といい、表裏逆の模様が表われます。

 

歴 史
寛政7年(1795)の随筆『譚海」の14巻に「ふうつも国の名也、
地はしゅちんに似てうすきものない…」とあり、既に江戸中期には生産されていました。
明治中頃風通御召や風通透綾の帯が大流行し、西陣、足利、十日町などで生産される様になりました。
表と裏の二つの顔を持ち、風が通るように時代の波にのって伝えられてきた技法の織物です。